現在、鹿児島市立美術館で開催している(~R5.11/12まで)、「ひろしま美術館コレクション 日本近代洋画の名作」展に行ってきた。
ひろしま美術館は過去に行ったことがあるが、時間の限りがあり、足早に観覧してしまったから、もう一度行きたいと思っている美術館の一つ。
今回の特別企画展は、そのひろしま美術館から日本洋画の名作がきたということ。
だが、日本画は興味をもって見てきたものの、正直日本画家の洋画は有名作家を除いて本当に無知に近い。何故かは自分でもよくわからないが、あまり興味がなかった。
実際、この特別企画展に展示されていた作家合計80名のほとんどがわからなかった。
だから、わからないが作品を観て興味を持った作家をピックアップして帰ってから調べてみることにした。
・小寺健吉 《杭州西湖》(1944)調べてもあまり詳しくは出てこない。作品などを見ると、素朴な風景画が多い印象。私はその素朴さがとても心地よく思えた。
・有島生馬 《スザンナ》(1909)※これは鹿児島市立美術館所蔵。有島武郎の弟、里見弴の兄。「白樺」で初めてセザンヌを紹介した人物だそう。この作品は、古典的でもうまく印象派の特徴を取り入れているように思った。
・小出楢重 《帽子を冠れる自像》(1928)自画像は生涯で8点描いているようだが、他には日本独自の裸婦像を確立していった作家のよう。痩せて目のくぼんだちょっと虚無感を感じさせるような表情で、とても印象が残った。
・古賀春江 《風景》(1923頃)第一印象で、画風は違うがパウルクレーのような感じを受けた。調べてみると、作家が画風を模索してく中、パウルクレー風の絵をかいていた時期があったそう。その後は、シュルレアリスムなどに変遷していったようだ。女性かと思ったが、男性作家だそう。
・海老原喜之助 《樵夫と熊》(1929)熊が、木に登り逃げている樵夫をとらえようとしている図の背景がとても澄んだ水色の空が印象的な作品。「エビハラブルー」と呼ばれているようだ。大体の作品は撮影OKだったのだが、これは撮影NGだった、残念。
・高野三三男 《レキエ夫人》(1948)レキエ夫人の肖像画だが、印象に残るのは夫人のバックに一面に張られた金箔。クリムトの金の使い方とは違う、琳派の屏風画の印象に近いように感じた。
・鶴岡義雄 《ヴェネツィアの朝陽》(1973)印象が、「まるで絵本の様な色彩だ」と思った。調べてみると、絵本のようなというより、いまの漫画に通ずるような色彩感がある作品が多いように感じた。
※美術館で買ったひろしま美術館の図録に載っていなかったので、これも他の美術館所蔵と思う。
・宮本三郎 《裸婦》(1969頃)この絵を見たとき、水森亜土さんの女の子を思い出した。裸婦像であるが、どこかかわいらしくそれでいて妖艶さもある。鮮やかでいて軽やかなタッチにも感じる。
※近年《家族》という作品の下から発見された《裸婦》とは別のものです。
・坂本善三 《三つが一つ》(作年不詳)黒地に平面的に描かれた柿が三つ描かれている。一見静物画のようだが、作者は1960年以降は一貫して抽象絵画を描いていたようで、東洋独自の「間」を表現したもののよう。
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知っている作家では、鹿児島出身の黒田清輝や東郷青児、他にも東京旅行で展覧会にも行った佐伯祐三や、気になっていたが生で見る機会のなかった鴨居玲、熊谷守一なども作品は数は少なかったけれど、観ることができてよかった。
ここでは紹介しきれないほどの作家数で、一人一人の密度はなかったのものの、作家を知るきっかけ、日本における近代洋画の変遷を感じるには、とてもよかったと思う。
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