鹿児島市立美術館に行ってきた。

8月下旬、午前のまだ涼しさを感じる時間に、鹿児島市立美術館で開催されていた「タグチアートコレクション展 スター大集結 夏フェス」という特別企画展を鑑賞してきた。

8/10から9/10までの1か月しかしない特別展なので、開催される前からスケジュール帳に記載していて、やっといけた感じだった。

タグチアートコレクションは、実業家・田口弘氏、娘の美和氏の二代にわたって取り組んでいる現代アートのコレクションで、この展覧会は初めて九州で本格的に紹介するものだそう。

美術館に入ると、正面に田名網敬一の《身体装飾》という作品が出迎えてくれる。常設でなく、この特別展での特別展示だろう。

鹿児島市立美術館は、行ったことのある方はわかるだろうが、結構簡素な印象のある美術館だと思う。

その美術館に、この作品が存在すると、とても異様な感じがする。作品が異様なのか、場所と作品のアンバランス感がそう思わせるのかはわからない。

観覧券を購入し入ると、最初に会田誠の《灰色の山》が出迎える。

数年前に、鹿児島の霧島アートの森というところで、会田誠の作品展があったことがある。その際に会田誠作品に出会ったのだが、衝撃的だったのを覚えている。女性としてはなんともいえない作品も数多くあるが、《紐育》などは好きで、ポストカードを買ってしまったほどだった。(今回の特別展には《紐育》はありません)

会田誠作品の出迎えで、少し期待感が高まり、先へ進む。

大竹伸朗、草間彌生、村上隆、奈良美智…など、有名な作家が続く。確かに「スター大集結」だ。

素敵。

面白い。

けど、なんだか物足りない自分がいることに気づいた。

2月に東京であった六本木クロッシングという展覧会に行ったことを、3月の記事に書いているが、六本木クロッシングも現代アートの展覧会だった。この六本木クロッシングで、様々な現代アート(アートといっていいのか不明なものも含めて)触れた。もうほんと様々な現代の表現を。

なぜこの話をするかというと、

きっと私の中で、現代アート=アングラ、カオス、不安定さなどを表現していると、この六本木クロッシングで刷り込まれてしまったんじゃないかと思うのだ。

だから、今回のタグチアートコレクション展の作品のような、安定して世間に明るい(ように感じる)現代アートは、なんか物足りないと思ってしまったのではないか。

それがよいとか悪いとかではなく、この表現の振れ幅が大きいのが、現代アートなんだということを、この特別展で一番感じたことなのではないかと感じた。

これだけ言っててなんだが、最近、アートに触れていなかったから(北九州市立美術館に行った以来)、水の干上がってしまった砂漠に雨が降り、砂がゴクゴク雨水を飲みこむように、今回のタグチアートコレクション展のアートを堪能したのはあしからず。

美術やアートはなんだか難しいと捉える方も多いように思う。

そんな方にも、今回のタグチアートコレクション展のような作品展はいいのではないかと思う。

ただ、「これ好き!」「これ素敵!」「これなんだか好きじゃない」それだけでもいい。鑑賞することで、心がドキッとするような感覚を味わってほしい。

そんなことを考えた一日でした。

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