3日目は茨城県近代美術館で速水御舟展をみに行く予定にしていた。
この日は7時30分にかけたアラームより早く起きた。同じホテルの部屋で泊っているとはいえ、やっぱり落ち着いて寝れない感じはあった。
朝からシャワーを浴びて、支度してホテルを出た。変わらず、ホテルの朝食はとる時間はない。まあ、お腹も空いてないし、どっかでコンビニでも寄れればいいかと思っていたし。
駅について丁度いい時間に出るものがあったけれど、人身事故の影響で15分ほど遅れた。まあこういうのもいいか、焦る旅じゃないしとか考えてみたり。
上野駅から茨城の水戸駅まで特急で1時間半程度。何もなくても、車窓を眺めているだけで時間がつぶせるタイプの人間なので、あっという間だった。年を重ねてさらになのか、時間経つの早く感じる。
水戸駅のところに、茨城県近代美術館の最寄りのバス停へ行く便があるのだが、時間表見たら、さっき出たところだったらしい。次の時間は30分後。歩いて行ってもいいが、少し腹ごしらえもしたかったので、水戸駅に戻って、そこにあったはなまるうどんに入った。
丸亀製麺は地元にあるが、はなまるうどんは初めて。でも、システムが似ていて、田舎者の私でも無事会計まで済ませられた。
うどんをそうそうに食べ終え、またバス停に戻り、バスを待つ。知らない土地で、ぼーっとする感覚はなんかとても心地よい感じがした。
バスにのり、茨城県近代美術館最寄りのバス停まで5分ほど。
美術館はとてもシックで重厚感のある建物だった。中も趣があってよかった。
日曜日だし、人が多いのかもと思っていたが、そうでもなかった。速水御舟展もっと人来てほしい。
速水御舟で言えば、私も記事にしたことのある「炎舞」が知られるところであると思う。「炎舞」は展示はなかったのだが、「洛北修学院村」目玉の「鍋島の皿に柘榴」「菊花図」など、速水御舟の細密で美しい作品に触れることが出来る。素描やスケッチなども展示があり、御舟の性格を表しているのではと思うほど、細密。
実際の自分の目で見るという体験は、とても面白く刺激的。今回の速水御舟展でも、わくわくしながら鑑賞していた。
14時から、速水御舟のことについての講演会「その生涯と芸術」というテーマで、美術館館長が講演するということだったので参加した。
印象に残ったことは、「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りてきて、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い」といった言葉だった。
型を持てば行き詰まる、型にとらわれないように、写生を数多くこなしながら真実の追求をした作画態度に、とても感銘を受けた。自分自身、絵画を描くということはしないものの、生きることも、いろんな体験を繰り返しながら、型にとらわれず、やっていくことが必要だなと思わされた。
講演会が終わって、もう少し先に偕楽園があるというので行く予定でいたが、少し疲れてしまっていたので、そのまま帰ることにした。
バスがなかったので、駅まで歩いていく。風は冷たいがなんだか心地いい。
駅では、切符を買う前に小銭をばらまき焦ったが、いろんな人が拾ってくれ優しさに触れて、無事切符を買うことができ、ちょうどいい時間で特急にのることができた。
帰りの電車は混んでいたが、最初から座ることができて、速水御舟の作品に触れた余韻に浸りながら帰った。
上野駅へ戻ってきて、途中夕食を済ませてホテルへ戻る。
ああ、明日には帰るのだ、少し寂しい気もするが、ずっといるわけにはいかない。
東京は便利で、多様性のあるところだ。だからこそ面白い。でも、私には少し刺激が強すぎるとも思う。いろんなことを考えながら、この日はゆっくり寝れた。
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